ミケランジェロ 「最後の審判」 システィナ礼拝堂壁画部分
聖ペテロは第一の使徒と言われます。同じく使徒であるアンデレの兄弟で、ガリラヤで漁師をしていました。アンデレと共に「人間を漁どる漁師」と呼ばれました。十二使徒の統率者で使徒の中でもキリストと親しく、最も近くにいた人物になります。その生涯は、 1.キリストの布教活動に随行した時期 2.キリスト刑死後、使徒達を率いて福音を説いた時期 3.ローマに赴き最初のキリスト教団を設立し、ネロの命令で磔刑(たっけい)に処されるまでの時期 の3つに分けられます。
代表的なアトリビュートは鍵です。ペテロがキリストより天国の鍵を授けられたことに由来します。ペテロとは「石」を意味します。聖書には「あなたはペテロ(石)である。そして、わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てよう。(中略)わたしは、あなたに天国の鍵を授けよう」とあります。また、最後の審判の前には「弟子の足を洗うキリスト」という場面があります。本来食事の前に主人の足を洗うのは召使いの仕事でした。ペテロは自分の番が来た時ためらって拒みましたが、「もしわたしがあなたを洗わないなら、あなたはわたしと何のかかわりもないことになる」とキリストが言うと、ペテロは「主よ、足だけでなく、手も頭も。」と受け入れます。
レンブラント 「ペテロの否認」
これは最も熱心なキリストの弟子であったペテロでさえ、キリストに離反してしまうシーンを描いています。この事は最後の晩餐の後、キリストから予言されています。
ペテロはキリストに尋ねました。「主よ、どこへ行かれるのですか。」ペテロはキリストのためなら命を捨てると言いますが、キリストはこう答えます。「わたしのために命を捨てると言うのか。はっきり言っておく。鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしのことを知らないと言うだろう。」
そしてキリストは逮捕されました。キリストの逮捕についてはユダの方で説明します。キリストの逮捕の時、ペテロは持っていた剣で兵士の一人に斬りかかり耳を削ぎ落としました。キリストはペテロを制し、逮捕されます。
その後ペテロは大祭司カヤパの家の庭に連れてこられます。人々は彼を見て「お前もあの男の弟子の一人ではないのか」と言うと、ペテロは打ち消して「違う」と言います。大祭司の僕の一人で、ペテロに耳を切り落とされた人マルコの身内の者が言います。「園であの男と一緒にいるのを、私に見られたではないか。」ペテロは再び打ち消します。三度打ち消すとすぐ鶏が鳴きます。ペテロはキリストの予言を思い出し、それを自分が強く否定した事も思い出し、後悔して泣き崩れました。
ペテロのその他のアトリビュートは
●上下逆の十字架
●三重の横木をもつ司教杖
●書物
●雄鶏
などがあります。