ここからは実際にキャンバスに描いていきます。
キャンバスは木枠に張って作ります。
画材屋では張りキャンバスと言って、既に木枠にキャンバスを張ってあるものが売っていますので、
最初の頃はこれを使って良いでしょう。
慣れてくるとキャンバス作りでも色々な事を試したくなりますし、
店によっては画布の張りが甘い物があるので自分で張って作る事があります。
キャンバスのサイズにはF、P、M、Sの4種類とSM(サムホール)があります。
FはFigure(フィギュア)で人物、
PはPaysage(ペイサージュ)で風景、
MはMarine(マリン)で海景、
SはSquare(スクウェア)で正方形になります。
通常お店の張りキャンバスはFだけになります。
PやMやSを使いたい時は自分で張って作ります。
このように数種類ありますが、Fが最も一般的なサイズなので慣れるまではFを使って良いと思います。
キャンバスも粗目、中目、細目がありますが、これも中目を使っていいでしょう。
では実際に描いてみます。
市販のキャンバスは基本的に白色です。
ここでは前もってオーカー色の下地塗料で地塗りを施してあるためイエローオーカーの色になっています。
地塗りとは、上に乗る絵の具を生かす等の目的で下地塗料を塗布しておく事を言います。
通常、地塗りをする必要はないので、この工程は飛ばしても構いません。
しかし、市販のキャンバスというのは丸めて売るために下地を薄めに作ってあります。
より良い状態で描くには一度地塗りを施すと良いでしょう。
下地を塗らないと後でキャンバスの目が強く出てしまうという事もあり、私は塗っています。
下地塗料にはジェッソというものもありますが、マツダのキャンゾールの方が油性の下地になって安心です。
キャンゾールには内容の成分表示がありませんが、
メーカーに問い合わせたところ、白ならペトロール、リンシードオイル、酸化チタンを使っているという事でした。
これなら下地に最適で、しかも量のわりに安いので重宝します。
というわけで、下地を作って1~2日置き、乾かします。
本来は下地は2週間程度乾かすのが理想的です。
次に、下描き同様に各端を鉛筆でマークします。
写真では見にくかったため、目印にPCで赤い丸をつけました。
モチーフの輪郭を取っていきます。
輪郭だけ取ろうとするとどうしても形が狂うので、
陰の面と明るい面など、大きく全体的に描くように心がけます。
最初から細かく描こうとしても後でおかしくなります。
なるべく小さいズレは気にしないで、まずは全体の形を取る事を考えましょう。
この絵の場合は左上手前から光が差し込みます。
その事を意識して、上の面や左側は明るく、右側には陰をつけていきます。
地面に落ちる影も重要です。
ある程度の形を取った結果、少し小さくしすぎた事に気づきました。
練りゴムを使ってうっすらと消します。
この時、前の絵を完全に消す必要はありません。
せっかくある程度形を取ったので、それを参考にしながら引き伸ばしてやります。
前の下描きの端に対して、各部分1.5センチ程大きくしてみました。
大きくした事で画面に迫力が出てきます。
再度輪郭を追って陰影をつけてあげます。
次に台と壁の境をマークします。
ここまでできれば下描きは充分です。
細かい部分は完成させる段階で描きこんでいきます。
絵の具を乗せる前に下描きが消えないようにフィキサチーフを吹きかけます。
ホルベイン ハンディパステルフィキサチフ 100ml(フキサチーフ、フィキサチーフ、定着剤、定着液)
|
次からはいよいよ絵の具を塗り始めます。