油絵のデッサンに続いて、鉛筆デッサンの描き方も載せます。
授業でデッサンをする事にしたので、教材制作がてらで制作過程を記録しました。
デッサンは絵画における基本と言われますが、鉛筆デッサンは必ずしも油絵や水彩画を描くための基礎練習だけにあるわけではありません。
鉛筆を画材として考えた場合、誰もが一度は使った事があり、最も気軽に絵を描く事に挑戦できる魅力的な素材でもあります。
最初から油絵を描こうと思っても時間がかかるし道具も色々と必要になります。
これから絵を始める方は、まずは鉛筆で描くことから初めてみると良いと思います。
絵を描く習慣がついてから油絵や他の画材を使った絵画に移れば、三日坊主もいくらか防げるのではないでしょうか。
今回描くのは足の石膏です。石膏はデッサンの練習にちょうど良いモチーフです。
全部白なので、光のあたり方を理解しやすいし、有名な彫刻家の作品から型取りしているので物の形も勉強になります。
石膏は真っ白ですが、白だからといって輪郭だけ描いて中身は真っ白というのは間違いです。
真っ白なモチーフでも影に注目することでかなり暗くなる事を学びましょう。
影をしっかり描けるようになると、物の存在感や立体感が表現できるようになります。
まず用意するのは画用紙と鉛筆、練りゴムです。
画用紙は色々ありますが、今回はM画用紙というのを使いました。
鉛筆はステッドラーを使っています。鉛筆も色々とありますが、ステッドラーやハイユニのような高品質のものを使うようにしましょう。
鉛筆は芯の固さで濃さの具合が変わります。良いデッサンを描くためには6B~4Hくらいまで一通り揃えましょう。
と言ってもいきなり全部買うのは難しいので、最初は5B、3B、B、F、Hあたりがあれば良いでしょう。
鉛筆は鉛筆削りではなくカッターで削ります。
描く時には鉛筆の腹を使って描くので、通常より芯を長めに出しておきましょう。
練りゴムはデッサン用のものを買い、4分の1くらいにちぎって使います。鉛筆デッサンをするのに必要な道具のリンクを張っておきます。
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画用紙をパネルに水張りした状態です。紙の大きさは四つ切です。
水張りとは、画用紙の裏面を濡らして側面を水張りテープという水をつけると接着するテープで市販のパネルに貼り付ける事を言います。
水で濡らすことによって紙が伸び、伸びた状態で固定された紙は乾いて縮むとパネルにぴんと張られます。
こうすると例えば水彩絵の具で描く時にまた濡らしたりしても紙が波打つことがありません。
デッサンをする時にも紙の緩みで形が狂う事がありません。
水張りの詳しい過程を示した写真はないのですが、水張りがわからなければカルトンという画板に目玉クリップか画鋲で紙を固定させて描いても問題ありません。
またはスケッチブックのまま描くのも良いでしょう。
紙を用意したら、まずは油絵と同じように正中線を描き、縦と横の大きさを取ります。縦の中心と横の中心を取り、十字線を引いたものを正中線といいます。
正中線の後はモチーフの最大の横幅と上下の幅を取っておきます。
今回の場合は横幅の最大は台の左の角から右の角まで、上下の最大は台の手前の角から足首の切れ目までです。
最大の大きさを取る事で基準を決めやすくなり、構図もある程度予想できます。
描き始めは3Bの鉛筆を使うと良いです。最初のうちは鉛筆は通常の持ち方はしません。
指先でつまむように寝かせて持ち、鉛筆の腹の部分全部を使って描きましょう。
最初から立てて描くと紙の目が潰れてうまく仕上がりません。最初はとにかく「面で描く」という事を意識します。
次におおまかな影をつけます。このときに注意する事は、輪郭線だけで描こうとしないことです。
最初のうちはどうしても輪郭線だけで描こうとしてしまいますが、輪郭線だけではいつまで経っても正確な形が取れません。
最初はある程度形が狂うという覚悟で、物を影の大きな面でとらえます。
足の指などを細かく描きがちですが、今はほとんど全て一つの塊として一つの面で描いていることに注目してください。
しかし、いくら最初から正確には描けないといっても、この段階で適当に描くと全てが狂います。
必ずそれぞれの大きさの比率を測りながら描きましょう。その際には基準になる長さが必要です。
この場合は台の手前の角から左の角までの長さを基準にしました。一番暗い影の落ちている面の長さです。
足首の見えている面の縦の長さはこの基準の長さの0.5だとか、かかとの位置は足首の切断面から0.8だとかという具合に位置を決めていきます。
影のつけ方は、まず光の方向を考えます。
この場合画面右側から光が入ってきます。
必然的にモチーフの右側と光が当たる上面が明るくなり、それ以外の部分が暗くなります。特に光と反対方向を向く面は暗い影が落ちます。
全体の面が取れたら次はいよいよ細かく描き込みます。
次の描き込む段階に行く前に縦横の比率や全体のシルエットが狂っていると思ったら、早めに測りなおしてなるべく正確にしておきましょう。