ヨハネは大ヤコブの兄弟で、第4の福音書の著作者として伝統的に描かれますが、現代では別人とされています。最初にキリストに従った使徒の一人で、ペテロやヤコブと共にオリーブ山の祈りの時にもキリストと行動を共にしています。洗礼者のヨハネとは別人です。十二使徒にはめずらしく天寿を全うしました。十二使徒で最も若い人物です。
ヨハネの主なアトリビュートは
●蛇または竜の巻きついた杯
●書物または巻物
●嘴でペンかインク壷をくわえる鷲
●釜
などがあります。
天寿を全うしたとは言え、その生涯は波乱に満ちています。この絵では杯から竜が出ています。この典拠の物語があります。エフェソスのディアナ神殿の祭司がヨハネに毒杯を与え、信仰の力を示したければ飲み干してみせよと迫られます。すでに2人の罪人がその杯によって死んでいました。ヨハネは飲み干しても生きていたばかりか、先の2人も生き返らせました。
書物や鷲は福音書の記者であることに由来します。
釜の典拠となる物語もあります。聖人の生涯は聖書だけではあまり多くが語られていません。その典拠となる物語はむしろ「黄金伝説」という書物にあります。この物語も黄金伝説にあります。ローマ皇帝ドミティアヌスの時代、ヨハネは煮えたぎる油の釜に投げ込まれました。彼は奇跡的に無傷で出てきた上に、以前より若返っていました。